離婚事件についての考え方
離婚事件に際しては、主張すべき権利をきちんと主張し、不当な解決にならないよう戦うことは当然のこととして、他方で譲歩できるところは譲歩し、できる限り円満な離婚を目指すことも大切だと考えています。
特にお子さんがいる場合には、離婚後も、子どもたちの父親と母親として、お互いに連絡を取り合うことになりますので、完全に縁が切れるわけではありません。
(但し、夫婦間に暴力がある場合や子どもに対する虐待がある場合など、連絡を遮断ないし制限すべき場合があることはもちろんです)
離婚後、お互いが前向きに新たな人生を踏み出せるよう、環境調整を行うことも離婚事件の役割といえます。
夫婦間で離婚の同意ができない場合は、最終的には離婚訴訟を起こして裁判所に離婚を命じてもらわなければなりません。
この点裁判所は、相手方の不貞行為や暴力があったり、著しい性格の不一致がある場合、あるいは別居期間が長期に及んでいるときなど、「婚姻を継続し難い重要な事由」があるときに離婚の判断を下します。
相手方が離婚に応じない場合は、離婚訴訟に持っていっても勝てるかどうかを慎重に検討したうえで、まずは離婚調停を申し立てて、離婚に向けた話し合いを行うことになります。
最初は離婚に応じないと述べていた相手方でも、調停手続を進める中で、離婚を受け入れる場合があります。
親権について争いがある場合の離婚調停や離婚訴訟においては、家庭裁判所調査官が関与することが多いです。
家庭裁判所調査官は、裁判官から独立した、心理学、社会学等の知見を持つ専門職です。家庭裁判所調査官は、離婚調停への立ち会い、父親や母親との面接、家庭訪問、子どもとの面接などを行い、親権者・監護権者の指定について意見を述べます。
裁判官は、家庭裁判所調査官の意見を参考にして、親権・監護権についての判断を行うことになります。
夫婦が離婚に同意している場合でも、未成年の子どもの監護・養育は父母どちらが行うのか、養育費や面会交流をどうするのかの取り決めが必要です。また、婚姻中に形成された財産がある場合は、財産分与についての話し合いが必要です。
離婚に当たって夫婦のどちらかに責任がある場合は、慰謝料の請求が認められる場合がありますので、慰謝料についての考慮も必要な場合が多いでしょう。
もっとも、親権についてさえ決めておけば、他のことについて話し合いができていなくても離婚届は受理されます。離婚後でも、離婚から2年以内ならば財産分与の調停・審判の申立てができますし、離婚から3年以内ならば慰謝料請求の訴訟が起こせます。子が成年に達するまでの間、養育費や面会交流を求める調停・審判の申立ができます。
暴力や虐待から逃れる必要がある場合など緊急に離婚が必要な場合には、他のことは後回しにして取り急ぎ離婚について合意すべき場合もあります。
但し、一般論としては、前向きに再出発するためにも、離婚後も安定した子どもの養育のためにも、離婚の際に決めておくべき事項をすべて解決したうえで離婚することが望ましいと言えます。
話し合いは、本人同士で行うこともできますが、冷静な話し合いが出来なかったり、相手から不当な圧力を受けたりすることで、不公平な結果となることもあります。
そのため、双方が離婚に合意している場合でも、裁判所の離婚調停を用いて、公平な裁判所の仲介のもとで話し合いを進めることをお勧めすることが多いです。
離婚調停も、離婚訴訟も、弁護士が代理人にならなくても行うことができます。
特に調停は、裁判所が主宰して話し合いで解決を目指すものですので、弁護士に依頼せずに調停を進める方も多いです。
当事務所では、弁護士が代理人とならず、法律相談及び書類の内容チェックの方で、依頼者ご自身で行う離婚協議・離婚調停をサポートすることも可能です。
国際結婚カップルの場合、そもそもどの国の法律が適用されるのでしょうか。
この点、夫婦のいずれかが「日本に常居所を有する日本人であるときは、離婚は、日本法による。」(法の適用に関する通則法27条)と定められていますので、日本に住む夫婦のいずれかが日本人であれば日本の法律で離婚を進めることができます。この場合、離婚を求める相手方が日本国内にいる場合は、離婚調停を相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てて、日本の法律で、日本の裁判所が調停・訴訟手続をすすめます。
夫婦の両方とも外国人の場合でも、相手方が日本国内に居住している場合には、日本の裁判所に国際裁判管轄が認められます。その場合は、夫婦の本国の法律(夫婦の本国法が同一である場合)又は日本の法律(夫婦の共通本国法がない場合で、夫婦の常居所地が日本である場合)に基づき、日本の裁判所が調停・訴訟手続を進めます。
なお、人事訴訟法3条の2第5号「身分関係の当事者の双方が日本の国籍を有するとき」に日本の裁判所に国際裁判管轄を認めますので、日本国籍者が結婚し海外で暮らしていた場合でも、日本の裁判所で離婚訴訟が起こせることとなります。
離婚問題での弁護士費用の例
離婚協議・離婚調停サポート
| (弁護士が代理人とならず、6カ月間回数無制限の相談及び文書チェックを行う場合) | 6か月あたり15万円(税別) |
離婚調停
着手金
35万円(税別)
報奨金
調停が成立した場合35万円(税別)
但し、財産分与・慰謝料・解決金を受領した場合は、受領した金額につき、以下の割合を乗じた金額を報酬金に加算します。
| 300万円以下の場合 | 16%(税別) |
| 300万円をこえ3000万円以下の場合 | 10%+18万円(税別) |
| 3000万円をこえ3億円以下の場合 | 6%+138万円(税別) |
| 3億円をこえる場合 | 4%+738万円(税別) |
離婚訴訟
着手金
50万円(税別)
ただし、調停から引き続き行う場合25万円(税別)
報奨金
調停が成立した場合35万円(税別)
但し、財産分与・慰謝料・解決金を受領した場合は、受領した金額につき、以下の割合を乗じた金額を報酬金に加算します。
| 原告側で、離婚と親権者指定の双方が認容された場合 | 40万円(税別) |
| 原告側で、離婚は認められたが親権についての主張が認められなかった場合 | 20万円(税別) |
| 被告側で、離婚の請求自体を排斥した場合 | 40万円(税別) |
| 被告側で、離婚は認められたが親権について当方の主張が通った場合 | 20万円(税別) |
財産分与・慰謝料・解決金の支払を受けた場合の報酬金加算については、離婚調停の場合と同一とします。
子の監護に関する調停・審判(子の引き渡し、面会交流等の手続を別途行う場合)
着手金
25万円(税別)
報奨金
25万円(税別)
